文化の基本は「食」である。私たちはこの考えから出発しました。では文化とは何か。
それは生活の基本は「衣・食・住」で、それがどういう形を取っているかと言うことが、すなわち「文化」だと考えました。衣・食・住が生活様式を決めているそれらの体系を文化と捉え、その中でも衣と住は気候に左右されるが「食」だけは必要である以上、文化の基本は「食」と言えるのではないでしょうか。
ただ世界の食に対する考え方は、二つの潮流があるように観えます。一つはフランス・イタリア・スペイン・中国・日本のラテン・アジア型と、イギリス・アメリカ・カナダ・オーストラリアの英米型です。つまり食を「文化」として捉える国と、食を「資源」として捉える国があるのです。

英米型は食糧生産の大規模化と効率化を進め、工業分野での大量生産技術を食の分野に持ち込み、「食の工業化」を促進し経済大国になりました。一方、ラテン・アジア型はフランスを代表するように食を「文化」として捉え、料理技術に磨きをかけ、食文化によって文化大国を築き上げたのです。
少なくとも、この200年余りは英米型が勝っていることは、誰しもが認識している歴史的事実で、単一で均一な効率よく製造された食品を、安く早く食べられるのは、英米型近代社会の産物だったと考えます。

しかし、同時に諸々な問題が発生したのも周知のとおりです。現在、議論の対象になっている健康問題に留まらず、環境・地域社会・伝統文化・一次産業などにこの問題の広がりが現れているのです。ところがこの問題が表面化するのとほぼ同時代に出現したのが、イタリアのスローフードや日本食をはじめとするアジアンフードへのシフト現象だったのです。例えば、日本食は素材にこだわり少量で一汁十菜と言われるように、魚と野菜を中心とした多品種な食材を使います。これはタイやベトナムでも基本はまったく同じです。また中国は医食同源思想を核とした食材、インドも同じくアーユルヴェーダ思想が根底に流れています。どちらも食事により体調を整える、もしくはバランスを取るとした歴史の知恵が活かされているのです。これらは規格大量生産ではできないもので、効率とは対極にあるものです。効率やスピードよりも歴史や伝統を重んじる国柄の食文化が、諸々の問題を解決する英知として評価を高めているのです。

時代は英米型潮流からラテン・アジア型潮流に、いや正確にはアジア型潮流に大きく「リ・オリエント(転換)」し始めたのが今日で、歴史の振子はまた大きく音を立てて振れ始めた中、人は時代から逃れられない、時代が人を造るとするならば、人間と運命共同体であるペットもまた同じではないでしょうか。
私たちは、新たな製品の発表にあたり「Reorient」を製品群名としました。そして歴史の教え、伝統の知恵、確かな技術を、世界から集約し「食は医なり」の言葉を忘れずに、製品を発表し続けていきます。

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